1.子宮筋腫

1−A.概要
 30〜50歳のあいだによく見られる婦人科の腫瘍では最も多いものです。原因は不明ですが、エストロゲンという女性ホルモンが発育に影響しているのは間違いないようです。5人に1人の女性が筋腫を持っていると言われています。
 発生部位により以下のように呼称され、またその部位により症状も異なってきます。

1−B.症状
 月経過多、不正出血、月経痛、腰痛などが現れますが、発生部位により症状は異なってきます。膀胱圧迫による頻尿や、貧血による動悸、易疲労感、顔面蒼白、直腸圧迫による便秘などが見られることもあります。
 不妊症や流産、早産の原因となることもしばしばです。

1−C。 治療
 手術、薬物による治療となりますが、根本的には手術治療が必要です。
 薬物による治療は根本的な治療とはならず、あくまで一時的に筋腫を縮小すること、症状を軽減すること、月経を止めて貧血を治療すること、などを目的としたものです。使用する薬剤については、次の子宮内膜症の偽閉経療法に使用するものと同じですので、参照して下さい。
 手術には、子宮を温存する場合には筋腫のコブのみを取る筋腫核出術、 子宮を摘出する場合には、単純子宮全摘術(腹式、膣式)と膣上部切断術があります。それぞれ手術の項を参照にして下さい。

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2.子宮内膜症


2−A.病態
 子宮内膜は、本来子宮内腔にあって女性ホルモンの影響により周期的変化を起こし、妊娠においては受精卵の着床する所となり、また妊娠が成立しなければはがれ落ちて月経となるものです。
 この子宮内膜が、子宮内腔以外の場所に生育している病気が子宮内膜症です。内膜が生育する場所が子宮筋層に限局したものは、特に子宮腺筋症といいます。

2−B.病気の特徴
 まず第一に、悪性腫瘍ではないのにそれと似た態度をとる、ということ。他の臓器に浸潤・破壊を起こしたり、癒着を起こしたり、血行性に転移を起こしたりするため、「良性のガン」と呼ばれたりします。不妊症の原因としてもっとも重要な疾患ですが、これは骨盤内における癒着を起こすことで卵管閉鎖や排卵障害の原因となることがその理由の一つです。
 第二に、近年増加傾向にあるということ。発生のメカニズムがいまだ解明されていないためなぜかはわかりませんが、「文明病」の一つなのでしょう。
 第三に、成熟期女性の病気であること。女性ホルモンの影響を受けて増殖、剥離・出血を繰り返しますが、本来はこれは妊娠を目的として起こる生理的な現象で、月経発来前や閉経後にはないものです。そして、このことが理由でホルモンによる治療が有効となりますが、一方で再発しやすい病気であることも事実です。

2−C.症状
 月経困難症、つまりひどい生理痛が主体となります。これに付随して、月経過多、月経周期に関係のない腰痛・下腹部痛、性交痛、排便痛などの症状が伴うことが多いです。

2−D.治療
 女性ホルモンによる治療、及び手術による治療に分かれます。
 ホルモンによる治療は、内膜の増殖を抑えることが目的となりますが、これには二通りの方法があり、正常の女性が生理が来なくなる状態、つまり妊娠か閉経かのどちらかに似せた状態にすることで内膜の増殖を抑えようという考え方から出たものです。ですから、妊娠に似せた状態にするためにいわゆるピルを服用する方法と、以下にあげる薬剤により閉経に似せた状態にする方法とになります。どちらを選択するかは個人個人の病気の状態や条件などにより決められますが、一般的には閉経に似せた状態(偽閉経療法)にしたほうが治療効果は高いようです。
 偽閉経療法に使用するのは、内服薬(ダナゾール)、点鼻薬(酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリン)、注射薬(酢酸リュープロレリン)の三種類の薬剤があります。内服は一日2〜3回、点鼻薬は一日2ないし3回、注射は月一回の使用となりますが、治療期間は4〜6ヶ月間です。なお、子宮筋腫に対しても用いますが、こちらはおよそ4ヶ月間以内で使用します。
 手術療法は、子宮に対しては全摘手術が、卵巣に対しては嚢腫摘出(子宮内膜症によりできる卵巣嚢腫をチョコレート嚢腫といいます)や嚢腫のアルコール固定術、卵巣の摘出などが行われます。また、最近は腹腔鏡による手術も行っています。詳しくは手術の項を参照にして下さい。

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