1.子宮頚癌


1−A.概要
 子宮の出口部分、子宮頚部から発生する癌を子宮頚癌といい、子宮癌の80〜90%を占めています。40〜50代に多く、初交年齢が低いほど、また性交経験の豊富なほど多いといわれ、発生には性交が関係するようですがいまだ原因は明らかではありません。最近ヒトパピローマウィルス(HPV)感染が注目されていますが、しかしこれだけが唯一の原因でなくて種々の原因がからみあって複合的に発生するものであろうという見方が一般的です。

1−B.前癌病変および頚癌の浸潤
 子宮頚癌は子宮頚部の異形成という病変から起こります。異形成は異型細胞の出現の度合により軽度、中等度、高度の三段階に分けられ、前二者は癌化するのが10%以下、高度異形成では20〜40%程度と考えられています。これにより、前二者では細胞診による経過観察、高度異形成では子宮摘出術ないしは頚部円錐切除術を行うのが一般的ですが、個別に対応することは言うまでもありません。
 さらに進むと上皮内癌という、癌が上皮に限局し皮下にまでは進展していない状態になり、そして皮下へ浸潤を始めていわゆる浸潤癌となります。
 皮下へ浸潤を始めると、リンパ行性、血行性に転移する可能性がでてきます。また、原発部位は子宮頚部を越え、子宮を支える靱帯を進み骨盤壁へ向かって進展したり、膣方向へ進展したり、膀胱や直腸へも進展したりします。

1−C.症状
 前癌病変である頚部異形成、上皮内癌ではまったく症状がないのが普通です。最低限癌の浸潤が始まった微少浸潤癌の状態に進行しないと症状としては現れないのが普通です。ですから、子宮癌の検診を定期的に受けることが重要なのです。ガン検診の項も参考にして下さい。
 進行してくると、不正出血、性交時出血、帯下(おりもの)の増加などの症状が現れてきます。
なお、検査についてはこちらを参照して下さい。

1−D.治療  治療は、手術療法、放射線療法が主体となりますが、抗ガン剤による化学療法や免疫療法を併用することも多く、やはりこれも個別に対応するのが一般的です。当院ではこれらのガン治療に対して可能な限り対応いたしますが、対処の範囲を超えるものに対しては対応可能な施設へ紹介いたします。

子宮頚癌に対する手術
1.円錐切除術
子宮頚部を円錐形に切除するもので、主に前癌病変に対して行われる手術です。子宮を温存できること、病変部の組織診断により確定診断が得られること、手術自体が患者への負担が少なくてすむことという利点を有しています。
2.膣式単純子宮全摘出術
手術の項を参照して下さい。
3.腹式単純子宮全摘出術
手術の項を参照して下さい。
4.準広汎子宮全摘出術
広汎子宮全摘術が術後の後遺症の問題が多いため、微少浸潤癌では摘出する範囲を縮小して行われます。単純全摘よりも膣や傍結合織を多めに切除するのが主眼の手術で、リンパ節は切除しません。
5.広汎子宮全摘出術
子宮とその周囲の組織を摘除するもので、骨盤内リンパ節の郭清を含みます。術後の後遺症として、膀胱麻痺、骨盤死腔炎などが起こりやすいため、癌進展の度合いによりできるだけ縮小する試みもなされます。ここも参照して下さい。


2.子宮体癌


2−A.概要
 子宮頚癌に比べ好発年齢は50〜60代とやや高く、未産、不妊婦人に多いこと、肥満、高血圧、糖尿病などに併発することも多いこと、エストロゲンという女性ホルモンが関与していること、などが特徴です。また、子宮癌の10〜20%と発生頻度は低いものの、増加傾向にあるようで、生活環境の欧米化が関連しているとも言われています。

2−B.症状
 不正出血、特に閉経後のものは要注意です。少量で不規則に出ることが多いようです。また、褐色帯下(おりもの)や悪臭のある帯下を訴えたり、腹痛と発熱を伴うこともあります。

2−C.検査
ここを参照して下さい。

2−C.治療
 子宮体癌は、子宮頚癌と違い、組織的には腺癌という癌が多いために放射線治療に対する反応が悪いことが多いため、主体は手術療法と抗ガン剤などによる化学療法になります。手術は単純子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術となりますので、頚癌の手術を参照して下さい。


子宮癌の種類と場所

卵巣の腫瘍へ