1.STD(性行為感染症)


 性行為感染症(Sexual Transmitted Disease)、つまり性病に関してです。代表的なものいくつかについて説明いたします。

1−A.淋病
 淋菌の感染によって起こります。男性に比べると症状としては現れにくく、自覚しにくい病気です。尿道炎(尿道の灼熱感、排尿痛、膿尿など)、膣外陰炎(帯下の増加、緑黄色、悪臭のある帯下など。あまり掻痒感はありません)などの形で現れますが、進行して骨盤内腹膜炎を起こし、発熱、腹痛を訴えることもあります。
 治療にはペニシリン、セフェム系などの抗生剤の投与が行われます。途中で自己判断で止めたりしたうえに再発すると、治療が困難になることもあります。

1−B.梅毒
 梅毒スピロヘータ(Treponema Pallidum)の感染により起こります。感染後3週間ほどすると、最初に外陰部に1〜2cm程のこりこりとしたできものを触るようになり、これがつぶれて潰瘍化し、また同じ頃に鼠径部のリンパ節がはれてきますが、やがて自然に治ったように見えます。痛みがない場合がほとんどなので、放置されることもしばしばです。
 その後2〜3ヶ月すると、発熱、頭痛、関節痛など風邪に似た症状にともなって赤い地図のような発疹(梅毒疹、バラ疹とも言います)が出現します。外陰部や口腔粘膜などに再び出来物ができ、深紅色で潰瘍ができたりすることもあります。
 さらに進行すれば皮膚だけでなく、骨や筋肉などが侵され、やがて脳、脊髄にまで達して死に至ります。
 梅毒の治療もペニシリン、セフェム系抗生剤を中心とする投薬になります。再発することも多く、治療後も数年間、血清抗体価の検査を受ける必要があります。

1−C.クラミジア
 クラミジアというリケッチアの感染により起こります。やはり症状としては現れにくく、いくらか帯下が増加する程度で無症状の場合が多いです。男性ではしかし尿道炎(排尿時痛、膿尿など)として現れることが多く見られます。
 この菌は子宮の出口(頚管)に感染し、上行性に卵管、腹腔内へ進んで炎症を起こすことがあり、その場合には発熱、腹痛を訴えるようになります。これが原因となり癒着を起こすことが不妊症の原因にもなること、また出産時に頚管で感染して新生児の結膜炎、時に肺炎を起こすことがあることにより、最近注目されています。
 最近増加傾向にあり、STDでも最も多い部類の疾患です。
 検査法には、頚管部から直接リケッチアの抗原を検出する方法と、血清中の抗体を検査する方法とがあります。
 治療は、エリスロマイシンを中心とする抗生剤の投与になります。骨盤内腹膜炎を起こしているときには手術の対象になることもあります。

1−D.カンジダ(真菌症)
 いわゆる自分の抵抗力が落ちること(糖尿病、他の疾患でも)や、抗生物質の服用などにより起こることが多く、性行為でも感染します。帯下の増加、外陰部の掻痒感が主な症状で、抗真菌剤の膣座薬、軟膏により治療します。

1−E.外陰ヘルペス
 1型単純ヘルペスウィルスの感染により起こります。外陰部に赤い湿疹ができ、それが水疱化し破れて潰瘍になり、痛みを伴うことが多く見られます。自然に症状が改善することもありますが、何度も繰り返し再発することが多く、そういう意味ではやっかいな病気です。また時に劇症となり発熱、外陰部の強い疼痛を認め、入院治療を必要とすることもあります。
 治療は抗ウィルス剤の軟膏のほか、同剤の内服、点滴などにより行います。




2.更年期障害

 更年期障害は、成熟期から老年期へ移行する時期にホルモン動態が変化することによって様々な症状を引き起こすもので、不定愁訴と総称される、いわゆる自律神経失調症状が出現するものです。大別すると、血管運動神経障害症状、精神神経障害症状、知覚障害症状、運動器障害症状、その他の症状、となります。いかに、その主な症状を列挙します。

血管運動障害症状
  顔面潮紅、のぼせ感、動悸、寒いまたは暑いと自分だけが感じる、汗をかく、 夜中に目が覚めて眠れなくなる、眠りが浅い、血圧の変動、など
精神神経障害症状
  頭痛、めまい、耳鳴り、不眠症、無気力感、ゆううつ状態、精神不安定、 さみしくなる、記憶力や判断力が鈍る、など
知覚障害症状
  皮膚のしびれ感、手や足のしびれ感、掻痒感、味覚や嗅覚の異常感、蟻走感 (皮膚を蟻が歩くような感じがする)、など
運動器障害症状
  腰痛、肩こり、背部の緊張感(頚から背中にかけて張った感じと訴える)、 関節痛、筋肉痛、など
その他の症状
  頻尿、排尿時痛(これらは尿や膀胱にはまったく異常所見を認めない)、 外陰部掻痒感、性欲の減退、など


*治療について*

 これら様々な症状に対して行われる治療は、
 
1.ホルモン補充療法
症状が出現する根本的な原因がホルモンの欠如によるものであることから、足らないホルモンを補充してやると症状が落ち着きます。最近ではホルモン補充療法は副次的な癌の発生という問題がきわめて少ないことが判明したことから、むしろ積極的に行われるようになってきています。当院でも、ホルモン補充療法を積極的に取り入れています。内服、注射のいずれかの方法で行います。
2.対症療法
精神神経症状に対しては精神安定剤や睡眠薬、血管運動障害などによる自律神経失調症状に対しては自律神経失調症用剤が対症的に用いられます。また不正出血に対しては止血剤のほかホルモン剤の投与も有効です。
3.心理療法
精神神経症状が、時に鬱病と紙一重の状態になったり、まったく内向的にしか思考できない状態に陥ったりしますので、心理的な療法も必要となることがあります。

いずれにしても、周りの人が更年期障害に対する知識と理解を持って接してあげることは大事なことで、その意味でもっと更年期障害についての正しい理解が普及して欲しいものです。

 

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